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東京地方裁判所 昭和63年(ヨ)2063号 決定 1988年11月14日

債権者 新都心興産株式会社

右代表者代表取締役 小谷光浩

債権者 渋谷ファッションセンター株式会社

右代表者代表取締役 小谷光浩

右債権者二名代理人弁護士 勝本正晃

同 立石邦男

同 吉田忠司

同 中村覚

弁護士 丸山利明

弁護士 磯辺和男

同 河合弘之

同 堀裕一

同 青木秀茂

同 安田修

同 長尾節之

同 荒竹純一

同 野末寿一

同 千原曜

同 野中信敬

債務者 国際航業株式会社

右代表者代表取締役 桝山明

右訴訟代理人弁護士 関根栄郷

右同 藤村義徳

右同 吉木徹

債務者 中央信託銀行株式会社

右代表者代表取締役 竹内幸太郎

主文

債権者らが保証として債務者らのために全部で金一〇〇万円を立てることを条件として、

一  債務者国際航業株式会社は、昭和六三年一一月一五日から同月二四日までの間、債権者らに対し、その営業時間内はいつでも、債務者中央信託銀行株式会社をして、別紙物件目録記載の物件を閲覧・謄写させなければならない。

二  債務者中央信託銀行株式会社は、第一項記載の期間、債権者らに対し、その営業時間内はいつでも、別紙物件目録記載の物件を閲覧・謄写させなければならない。

理由

一  本件申請の趣旨及び申請の理由は、別紙仮処分命令申請書及び申請の趣旨訂正申立書(その二)記載のとおりである。

二  申請の趣旨に対する答弁及び債務者の主張は別紙答弁書記載のとおりである。

三  東京地方裁判所が、昭和六三年一一月二日、債権者らに対し、同年一二月一〇日までに債務者国際航業株式会社の株主総会を招集することを許可する旨の決定をしたことは当裁判所に顕著である。

少数株主による株主総会招集が裁判所により許可された場合には、当該少数株主に対し株主総会招集権が付与されるのであるから、その当然の効果として、少数株主は、総会に招集すべき株主を確知する権利を有するというべきであり、右確知のためには、株主名簿を閲覧・謄写することができるのはもちろんのこと、基準日現在の株主を最終的に確定した株主名簿の作成を待っていては裁判所の定めた期限までの総会招集が事実上不可能になるような場合には、株主名簿に代り基準日現在の株主を確知することができる書類の閲覧・謄写をすることもできるものと解するのが相当である。

これを本件についてみるに、一件記録及び審尋の結果によれば、債権者らは、株主総会招集のための基準日を昭和六三年一一月一八日としたこと、裁判所が定めた期限である同年一二月一〇日までに総会を招集するためには遅くとも同年一一月二五日までに総会招集通知を発送しなければならないこと、債務者国際航業株式会社の株式名義書換代理人である債務者中央信託銀行株式会社においては、その事務手続上、前記基準日現在の株主を最終的に確定できるのは早くとも同月三〇日であり、これを待っていては同月二五日までに総会招集通知を発送することは不可能であること、しかし、新株主から同銀行に送付されてくる名義書換請求書及び株券をその都度閲覧・謄写するならば、遅くとも同月二二日までには基準日現在の株主を一応確認することができ、同月二五日までの招集通知の発送が可能になることが疎明される。

以上によれば、債権者らは、株主総会招集権に基づき、債務者国際航業株式会社の株主名簿のほか、基準日までの名義書換請求書及びこれに対応する株券の閲覧・謄写を請求することができるものというべきである。

四  《証拠省略》によれば、本案判決を待っていては、債権者らは昭和六三年一二月一〇日までに株主総会を招集できなくなるおそれがあることが疎明される。

五  以上によれば、本件申請は理由があるから、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 山口和男 裁判官 佐賀義史 坂倉充信)

<以下省略>

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